アステリア / 軽井沢オフィス 2023, Nagano























Photo | Taisuke Inatsugu
都心に本社を置くIT企業の軽井沢オフィス。いち早くテレワーク移行と本社機能のコンパクト化を済ませた同社が、敢えて人が集まるためのオフィスをつくる。
西の隣地には、森の風景を保全しつつ、点在する建屋群をカフェやオフィス、児童施設へと改修・転用した軽井沢コモングラウンズがある。相互の交流を前提として隣地の小径を延伸し、アプローチとした。境界も誇張せず、庭に植えた木々がやがて森と繋がり、ヒューマンスケールの建屋群として構成した建物も含め、地続きの景観となることを意図している。一方で敷地の東側は周囲より小高く遠望が開け、風が抜けている。多湿な軽井沢には希少なこの微気候を象徴して「丘」と称し、「森」と対置する敷地のもう一つの価値と捉えた。この「森」と「丘」に繋がる2つの庭と内部構成が、建物の基軸となっている。
ここは社員に効率的に作業をさせるための場所ではなく、作業の合間にある食事や休息といった仕事に付帯するものの価値を見直し、共に過ごす時間の側から仕事を捉え直すための場所である。それは必然的に寝・食・業・休を共にする広義の「家」を組み立てることとなった。建物は空間のスケール、利用人数、公私、賑静の階調をつけた4つの「棟」で構成されている。
月に一度は都心を離れ、大地に根を下ろし、自然の息づかいを身近に感じつつ、仲間や近隣の人々とのささやかな交歓のうちに働き暮らす。この場所との往来が一つのライフスタイルとなる。
共同設計 : 大島祥吾 小森正和
構造設計 : 三野裕太(三野建築構造研究所)
構造規模 : 木造2階建
主要用途 : 事務所 寄宿舎
建築面積 : 1,539.53㎡
延床面積 : 380.80㎡
竣工年 : 2023年7月
施工 : 株式会社 フォレストコーポレーション
Award : 第17回長野県建築文化賞
一般部門優秀賞、新人賞