岩国の歯科医院 

2017, Yamaguchi

錦帯橋から続く、商家の家並みが残る通りに建つ。

歯科医院に限ったことではないが、そこで働く人と人、人と建物の間に、まるで血が通って息づいているような一体感を覚えることがある。そんな時、「ああ、ここの人達に任せておけばきっと大丈夫」と、自然と思えてくる。それは、あくまでも人々の誠実な日々の積み重ねの先に生まれるものかもしれない。けれど、そのときには良い建物がきっとそれを背後で支えていると思う。

 

スタッフの機敏さと来院者の穏やかさ、あるスペースとスペースの好ましい近さと遠さなど、とても基本的なことではないかと思うが、シンプルな構成の中に、相反する物事が整合して互いを引き立て合うような一点を求めた。

心身に何かしら不具合のある時は、気持ちの逃げ場がほしくなる。 そんな時に、人工物は含みを持たず、気詰まりである。深い奥行きと生命感を持って受けとめてくれる庭がほしい。庭に緑があれば、そこに光を感じ、風を感じ、水を感じることができる。小鳥もやってくるだろう。また、診療台の上で仰向けになるあの瞬間に必ず向き合うことになる天井は第2の”庭”である。特徴的な小幅の板の天井は、そんな時のことも考えて設えた。

岩国のなかでも古い面影を残す地域にこの建物が似合い、

人々に受け入れてもらえればと思う。

DATA

主要用途

共同設計

構造設計

構造規模

建築面積

延床面積

竣工年

: 診療所(歯科)

: 清水壮輔

: 三野裕太

: 木造2階建

: 238.25㎡

: 247.45㎡

: 2017年7月

© Atsushi Kubo Architects