2019年度グッドデザイン賞 2019/12/1

「長野のモデルハウス」が、

2019年度グッドデザイン賞を受賞しました。

https://www.g-mark.org/award/describe/49278

この仕事のクライアントであり施工者でもある

株式会社フォレストコーポレーションさんが

応募・申請の手続きをしてくださり、

私は何もしていないのに

ちゃっかりデザイナー欄に名前を載せて頂いて

恐縮ですが、大変嬉しく思います。

ありがとうございます。

長い手紙 2019/8/27​

長野のモデルハウスが完成した。

 

 

設計の仕事は、始まって建物が完成するまで、

その都度たくさんの人と情報を

「共有」することで進んでゆく。

 

けれど一方では、本当に建物が出来あがり、

新品のシャツに袖を通すように

身を置いたときのその「感じ」の中には、

設計者がその仕事の中で日々想像し、磨きをかけ、

完成の日まで一人で持っていく、

そういう部分がどうしてもあるように思う。

 

 

むしろ設計者自身にとっても、それを正しく

高い精度で想像することは細心の注意と努力を

要することで、決して容易な作業ではない。

 

そうやって建物が完成し、使い手となる人々に

喜びをもって受け入れられたとき、

ふっと「長い手紙が届いた」という気持ちになる。

一人夜なべをして、コツコツ書いた長い長い手紙。

 

その喜びは、一瞬でそれまでの苦労を

吹き飛ばすだけでなく、その苦労までも

素晴らしいものにしてしまう。

 

 

 

 

辛抱強く打ち合わせにお付き合いいただき、

設計の意図を丁寧に汲み取って施工していただいた

フォレストコーポレーションの皆様に、

この場を借りて感謝申し上げます。

「宮廻正明展 行間のよみ」 2018/6/12​

共同設計:印牧洋介

写真  :高栄智史

東京藝術大学美術館で開催された

「宮廻正明展 行間のよみ」の会場構成を担当しました。

常識にとらわれず、

好奇心旺盛でいつもチャーミングな宮廻先生との仕事は、

私にとってもとても刺激的なものでした。

なんといっても作品の一つ一つが素晴らしく、

吸い込まれるようにその絵を見ていると、

静かな気持ちになります。

 

まだまだ終わらずに多くの人に見てもらいたい、

そんな展覧会でした。

錦帯橋 2018/1/29​

岩国の現場が近かったので、夏に冬、

雨の日も晴れの日も錦帯橋を眺めることになった。

景色が気に入って、宿も近くにとった。

 

 

川の流れ、雨の流れ、人の流れ。

軽く長く、水に弱い木。

重く丸く、水に強い石。

 

一見、かなりユーモラスな橋だけど、

よく見ると形の中に

全ての折り合いが緩みなく記されている。

あらゆる部分が、

同じ目的に向かってひたむきに手を取り合って、

こんなに真摯な印象のする人工物はなかなかない。

 

一個人の知恵では及びがたいその精度を見ていると、

身震いがした。

その陰には、橋を幾度も流され、

工夫を重ねてきた人々の苦悩があるのだろう。

 

この橋がいま自分の胸を打っているように、

自分の仕事も善かれ悪しかれ先の誰かに伝わるだろう。

自分もまた、同じ歴史と大地の上で仕事をしている。

それは鼓舞であると同時に、重圧でもあった。

 

けれど現場が終わってみると、なんとなく錦帯橋に

「お世話になった」ような気持ちになって、

どこかでお礼を言いたい気がした。

 

 

今日も悠々と流れる錦川の上で

遠方からのお客さんを迎えているだろう。

© Atsushi Kubo Architects